昔々、いや実際には今からほんの数か月前の話になるのだが、私はうつ病で絶不調の生活をしていた。
簡単に症状を述べれば1日15時間を睡眠に充て、基本的に布団の上で意識だけがある状態で何もせず、最低限の食事と排せつのみで一日が終わるという生活だった。
今は薬のおかげでそれなりに活力が戻ってきて、色々と外に出たりバイトが見つかったりしていい感じだ。
ただ数か月前はそれはもう酷い有様で、完全なるひきこもりであった。
そんな私はどうしかしなければいけないという世間体や常識が前のめりになり過ぎて、心身ともに絶不調だったため、余計に苦しかった。
それでも私はひきこもりを打破すべく色々な手段を考えた。
選択肢
いきなり相談する、しかも電話をする・相談しに外に出るというのはかなり気が滅入る作業で億劫だったので、とりあえずググりまくった。知恵袋、なんj、YouTube等、「ひきこもり 脱出法」などというワードを入れて引っかかった情報を片っ端から調べ上げた。そして出てきた選択肢が以下である。
例
- 障碍者手帳を取る、そして障害福祉に頼る(A型・B型作業所に通う、就労支援を受ける等)
- 生活困窮者自立支援制度で就労をサポートしてもらう
- 在宅ワークを探す(クラウドソージング等)
- 保健センターでひきこもりの相談をする
- 障害者職業センターで相談する
- ひきこもり相談支援団体に相談する
以上が私が調べたひきこもりを脱出するのに役立つであろう選択肢だ。
とにかく社会不適合者であり弱者に位置するであろうと確信していた私は今まで自分でどうにかするとうやり方ではなく他者に全力で頼ろうという考えにシフトチェンジしたのである。
ひきこもりを脱するには要は手に職を見つける、すなわち就労するのが一番よかったのだが、どうやら上記のB型作業所は工賃が非常に安く、A型作業所も最低賃金は保障されるが収入によって利用料がかかるなどの瑕疵が目に入り、福祉の闇を見た気がする。
いきなりうつの状態で就労するのは早とちりな気がして、段階を踏んで少しづつステップアップをすべきだと理性ではそう考えたが、まどろっこしいちまちましたやり方が嫌いな私はいつのまにやらバイトを探していた。
かといって重度のひきこもりがいきなり外に出て面接を受けるなどという行為は暴挙であるという客観視は出来ていたため、まずは就労という手段以外で今のひきこもりという状況を脱する(物理的に家から出る)ことを目指した。
そして行政がやっているひきこもり相談窓口へ電話をかけることになる。
ひきこもり相談窓口への電話
ひきこもりの相談を受けているところがあると知ってから数日は電話が出来なかった。
なぜなら何を相談したいのかうまく喋れる自信がなく、そしてなにより電話が怖い、ひきこもりを自分で認めて他者に「私はひきこもりです」などと話すという行為にためらいがあったからである。
電話をかけることになった当日も番号を入力し、発信のボタンをタップするまで2時間の右往左往を経た。プルルルルという発信音が聞こえたときは脇汗がどっと出たのを覚えている。
窓口につながった。
優し声の女性が対応してくれた。
色々と根掘り葉掘り聞かれた記憶がある。
名前、住所、年齢など基本的なことから、家族構成やひきこもるまでの経歴、経緯、通院先や飲んでいる薬、家族と食事を一緒にとっているか?など一見あまり関係ないようなことまで聞かれた。
40分ほど話し終わった後、面談をしに直接来所するかどうかの話になった。
だがどうやら新規面談は朝の9時からしか受け付けてないらしい。
ひきこもりに厳しいなと率直に思った。
そしてその時の生活は昼の1時2時に起きてはまた夕方6時まで寝るような生活だったのでもちろん通えないので申し訳なさそうに私は面談を断念した。
電話では決して否定されることはない。
「よく電話してくれました」とお褒めの言葉を頂ける。
他者とまともにこんなに長く会話したのはいつぶりだろうかと思った。
無料通話に鳴れていた私はふと電話代のことを思い出し、「ひきこもりに優しくないな」と思った。
おわりに
結局、通院している病院先の先生に正直に症状を洗いざらい話した。今までは医者に相談しても無駄だと思っていたので診察も30秒ほどで終わっていたが、しっかりと自分が困っていること・辛いことを話したら、薬が変わり、そのおかげで絶不調の時よりはかなり活動ができるようになった。
ひきこもり相談の電話をしたことに意味があったのかはよく分からないが結果として今はバイトできているので終わり良ければ総て良しである。
今ひきこもりで困っている、悩んでいる方はできることから一歩踏み出してほしい。できないことは無理にしなくてもいいと思う。できそうなところから少しずつ。自分を追い詰めないで頼れるものには全力で頼ってみて欲しいと思う。
コメント